今回はDOTEC-AUDIOがどのように考えながらエフェクタを作っているかのコラムです。
デジタル信号処理や、そのマイクロプロセッサをDSPと呼びます。デジタルエフェクタもDSPです。
さて「音楽用」DSPの一番難しいところはコンピュータの苦手な事をプログラムする所です。
一番得意な事はインプットした情報に対して理論どおりの計算結果を返す事。
先人の研究結果もあって計算式が確立されてますので、まさに教科書通りの結果を出すのは一番簡単な事です。
音に関して言えばAという波形をAAとして出すなど完璧にこなせます。
これをツマミで人が操作したらロボットのような正確さが必要ですよね。
でも音楽の魅力はそんな単純な方法では出せないから大変で、当たり前の理由として皆さんの音楽の感性が単純ではないからです。
例えばカセットの音を聴いて「なんかいいなぁ」って思ったりするのは過去の体験が重なってたり、それを決定づける計算式が無いからです。
仮に音楽的に良い音で鳴ってるか判別するロボットがあれば、その判定式をついて最高得点をとる事なら簡単です。
判定が人間だったらそうはいきません。
そこに関する論文も多々あるのですが、結局は例えるところアミノ酸の配合を化学的に完璧にすれば最高にうまい料理が作れるかみたいな結論になります。
チェーン店の牛丼の方が美味かったなんてバラエティ見た事あります。
つまるところ最終的にはプログラムとはいえ計算式にならない数値での調整が必要で、その調整方法は粘土細工に近いです。
コンピュータ的じゃなく思いっきり人の手によるものですね。
高価な機材も設計図どおりに量産するものの、最後は人の手でチューニングが施されるのと同じです。
ただそこはプログラムの良いところで、調整結果は数値化されて全く同じ内容で配布できます。
ちなみにAIも音楽は難しく、動画>静止画>音の順に情報が少なく人の判断が正確になってくるため、細かな違いに厳しくなります。そこを満足させるのは非常に難しい事です。
一方で「実験用」「加工用」DSPは式と答えが確立されているのでコンピュータ向きで、とっくの昔に完璧に完成しています。
それを音楽用として出してる場合も多々あります。
場合によってはそれが都合良かったりという点も音楽用の複雑なところです。
もうこうなると無機質にプログラムとは言えない物ですよね。
だからこそDOTEC-AUDIOは日々アップデートを考えています。